検 証
予選最終日、ボーダー付近の選手の走りは変わるのか。
約10年分・7,523節の予選最終日を数えた記録です。
「ここは勝負駆けですね」
予選の最終日、ボーダーのあたりにいる選手がピットを出ると、実況がそう言います。あと1走で準優に乗れるかどうかが決まる。気合いも入るだろう、と聞いている側も思う。
勝負駆けは、効くのでしょうか。
2016年11月1日から2026年8月31日まで、3,591日分の競走成績を1レースずつ並べ、同じ場で続いた開催日を節にまとめ直しました。準優のある節は7,523。予選最終日に走った選手を1人1日として数えると、325,535人日になる。
公式が得点率を出しているのは大きな開催だけなので、得点率は着順点から自分で計算しました。その得点率で準優の顔ぶれを当てると、延べ136,914人のうち127,704人が合っていて、93.3%。予選最終日の朝、誰がボーダーのどちら側にいたかも、同じ計算で決めた。
ボーダーとの差が0.5点以内の選手を「崖っぷち」と呼ぶことにして、数える前に、比べ方を決めておきました。予選最終日の着順点を、同じ枠、同じくらいの強さの選手の平均と比べ、崖っぷちとそれ以外で差を取る。強さの物差しは、その選手の直前12か月の平均着順点。
崖っぷちの選手は、それ以外より0.13点よい着を取っていました。ラベルを1,000回入れ替えても、偶然でこの差に届いた回はない。
やはり効くのか、と思いました。
ところが、帯ごとに並べると、形が違います。
| 予選最終日の朝 | 人日 | 着順点の差 | 準優に乗れた割合 |
|---|---|---|---|
| もう届かない(−2点より下) | 80,535 | −0.48 | 1.8% |
| 圏外(−2から−0.5) | 77,985 | −0.17 | 14.4% |
| 崖っぷち(±0.5) | 67,576 | +0.07 | 52.0% |
| やや圏内(+0.5から+2) | 64,140 | +0.25 | 86.0% |
| 安全圏(+2点より上) | 35,299 | +0.61 | 95.4% |
浮いているのは崖っぷちだけではなく、ボーダーの上にいる選手ほど、よい着を取っている。予選で上位にいる選手は、その節のモーターや調子がよかった選手でもあるので、最終日もそのまま走る。崖っぷちは坂の真ん中にいて、「それ以外」には坂の下の選手のほうが多く入っていた。先に決めた比べ方は、勝負駆けではなく、この坂を拾っていました。
比べ方を先に決めておいて、その比べ方に足をすくわれたことになります。
では、坂をならしたうえで、ボーダーのところにだけ段差があるのか。ボーダーからの差を0.25点刻みに並べ、崖っぷちの外側の形から、崖っぷちのところに来るはずの値を出して、実際と比べました。
段差は+0.04点。1着と2着の差の2点に比べると、およそ50分の1です。節を単位に1,000回組み直すと、見分けられる最小の差は0.03点で、それはわずかに超えている。
ただ、ボーダーでない場所に同じ幅の窓を置いて同じ計算をすると、10か所のうち5か所で、これと同じくらいの段差が出ました。坂の曲がり方を式が拾いきれていない分と、見分けがつきません。年ごとでは、11年のうち10年で上向きでしたが、1年ずつでは、どの年も偶然の幅に収まる。
効いているとしても、枠ひとつぶんの20分の1。枠がひとつ内に入ると、予選最終日の着順点は平均で0.86点上がるので、勝負駆けの上乗せは、その端数にも届きません。
勝負駆けには、もうひとつ、よく聞く言い方があります。
「メイチの勝負駆け」
目一杯に攻めるなら、スタートに跡が残るはずで、同じコース、同じくらいの強さの選手と比べると、崖っぷちのスタートは実際に0.0023秒早かった。もっとも、スタートも坂の上にあって、坂をならすと段差は0.0007秒で、偶然と見分けがつかない。フライングの割合も、崖っぷちは0.41%で、圏外の0.46%とやや圏内の0.37%のあいだにいました。
スタートの記録は0.01秒刻みなので、0.0007秒はその目盛りの14分の1で、時計には、ほとんど何も残っていません。
最終日の崖っぷちがよく走って見えるのは、見間違いではありません。崖っぷちにいる選手は、圏外の選手よりその節の調子がよく、実際に平均より少しよい着を取っている。
現場で見えているのは、坂の途中にいる選手の走りです。こちらが数えたのは、坂からはみ出した分でした。坂の上の走りを気合いと呼べば、勝負駆けは効いて見える。坂からはみ出した分だけを数えると、ほとんど残らない。
では、同じ崖っぷちで、進めるかどうかを分けていたものは何か。予選最終日の出走が1走だけだった崖っぷちの選手を、その日の枠で分けました。
1枠なら74.0%が準優に乗り、6枠なら28.9%。同じ崖っぷちでも、引いた枠で45.1ポイント違います。あいだの枠も、2枠52.1%、3枠48.0%、4枠43.5%、5枠35.1%と、外に行くほど段を下りるように下がっていく。予選最終日の枠は番組で決まるもので、選手が選べるものではありません。6枠を引いた崖っぷちで準優に乗れるのは、3人に1人に届かない。
反則による減点は、手元の競走成績から取れないので入れていません。開催の格も載っていませんが、同じ節の全員に同じだけ乗る加点なので、節の中の順位は変わらない。チルトの角度は2026年1月からしか手元になく、10年の比較には使えなかった。
外した選手もいる。予選最終日の前にフライングや妨害で順位から外れた6,378人日、準優のある節で予選最終日に走らなかった21,073人日は、比べていません。
「ここは勝負駆けですね」は、嘘ではありません。崖っぷちの選手は、平均より少しよく走っている。ただ、それはその節の調子のぶんで、勝負駆けのぶんは、枠ひとつの20分の1ほどしか見つからなかった。
気合いは、45ポイントを埋めません。
予選最終日の朝の得点率で、ボーダーまであと何点だったかで分け、実際に準優へ進めた割合を数えたものです(2016年11月1日から2026年8月31日・人日)。
| ボーダーとの差 | 人日 | 進出率 |
|---|---|---|
| −2.0未満 | 80,535 | 1.8% |
| −2.0から−1.0 | 49,301 | 9.5% |
| −1.0から−0.5 | 28,684 | 23.0% |
| −0.5から0.0 | 28,239 | 40.6% |
| 0.0から+0.5 | 35,251 | 59.2% |
| +0.5から+1.0 | 24,428 | 77.7% |
| +1.0から+2.0 | 39,959 | 89.7% |
| +2.0超 | 39,138 | 94.0% |
公式が得点率を出しているのはG2以上の開催だけで、G3・一般では公開されていません。ここでは公式と同じ計算式で出しています。
1着10点 / 2着8点 / 3着6点 / 4着4点 / 5着2点 / 6着1点。特選・選抜・ドリームなどの名前が付いたレースは1点を足しています。この合計を出走回数で割ります。
(出典:ボートレース公式 用語辞典)
公式には、待機行動違反などの反則で引かれる「減点」があります。着順には現れず、手元の競走成績からは取れないので、ここでは再現していません。
10年の準優のある 7,523節で、準優に乗った延べ 136,914人のうち 127,704人を言い当てました(93.3%)。
多くは18名で、10年の7,523節のうち6,591節(87.6%)。ほかに24名が552節、12名が358節ありました。
フライングと妨害失格は「賞典除外」となり、順位から外れます。どれだけ着順が良くても、その節の準優には乗れません。
記事の集計期間 2016/11/1 から 2026/8/31 / 3,591日・準優のある7,523節
出典:公式サイト 競走成績(Kファイル)・番組表(Bファイル・級別)。記事の数字は固定で、更新されません。
読み物ではありません。毎日、前日までの結果で「昨日の準優」と「再現率の推移」の2つを数え直しています。
記事の本文の数字は2016年11月から2026年8月の固定の集計で、この欄では動きません。
準優勝戦は毎日どこかの場で行われます。実際の準優メンバーと、こちらの計算結果を突き合わせた記録です。直近14日分を載せています。
| 場 | 定員 | 一致 | 外れ |
|---|---|---|---|
| 2026/10/7 びわこ | 18 | 18 | 0 |
| 2026/10/6 徳山 | 18 | 18 | 0 |
| 2026/10/5 福岡 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/10/5 下関 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/10/5 尼崎 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/10/5 住之江 | 18 | 18 | 0 |
| 2026/10/4 唐津 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/10/4 津 | 18 | 16 | 2 |
| 2026/10/3 蒲郡 | 18 | 16 | 2 |
| 2026/10/3 浜名湖 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/10/2 児島 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/10/2 平和島 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/10/1 大村 | 18 | 16 | 2 |
| 2026/10/1 丸亀 | 18 | 16 | 2 |
| 2026/10/1 鳴門 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/9/30 丸亀 | 24 | 24 | 0 |
| 2026/9/30 江戸川 | 12 | 11 | 1 |
| 2026/9/29 多摩川 | 18 | 18 | 0 |
| 2026/9/29 戸田 | 12 | 11 | 1 |
| 2026/9/28 芦屋 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/9/28 下関 | 18 | 14 | 4 |
| 2026/9/28 尼崎 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/9/26 福岡 | 18 | 18 | 0 |
| 2026/9/26 若松 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/9/26 びわこ | 18 | 17 | 1 |
| 2026/9/26 常滑 | 18 | 17 | 1 |
| 2026/9/25 徳山 | 18 | 18 | 0 |
| 2026/9/24 桐生 | 24 | 23 | 1 |
準優メンバーをどれだけ言い当てられたかの月別の推移です。ある月だけ大きく下がったら、データ側に何か起きています。
| 月 | 節 | 延べ | 一致 | 再現率 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年10月 | 15 | 270 | 254 | 94.1% |
| 2026年9月 | 62 | 1,116 | 1,046 | 93.7% |
| 2026年8月 | 69 | 1,242 | 1,155 | 93.0% |
| 2026年7月 | 65 | 1,152 | 1,069 | 92.8% |
| 2026年6月 | 62 | 1,104 | 1,020 | 92.4% |
| 2026年5月 | 63 | 1,128 | 1,052 | 93.3% |
| 2026年4月 | 61 | 1,110 | 1,023 | 92.2% |
| 2026年3月 | 58 | 1,062 | 987 | 92.9% |
| 2026年2月 | 56 | 1,014 | 931 | 91.8% |
| 2026年1月 | 62 | 1,104 | 1,019 | 92.3% |
| 2025年12月 | 64 | 1,176 | 1,069 | 90.9% |
| 2025年11月 | 59 | 1,050 | 969 | 92.3% |
| 2025年10月 | 55 | 978 | 897 | 91.7% |
| 2025年9月 | 61 | 1,116 | 1,034 | 92.7% |
| 2025年8月 | 65 | 1,188 | 1,116 | 93.9% |
| 2025年7月 | 30 | 552 | 510 | 92.4% |
最終更新 2026/10/07
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