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検 証

体重を絞ると
走るのか

「仕上げてきた」と言われる選手は、いつ、どこで絞っているのか。
280日・43,209レースで探した記録です。

「絞ってきましたね」

節の中日に、実況がそう言うことがあります。仕上げてきた、と予想紙に書かれることもある。体重を落とすのは本気の証だ、という前提で聞いている人は多いはずです。

では、その選手はいつ絞っているのか。

2026年1月1日から、280日分の直前情報を集めました。レース前に公表される体重と結果を突き合わせると、43,209レース、のべ259,191の出走になります。

落ちるのは2日目まで

同じ選手が同じ場で4日以上続けて走ったまとまりを1節として、初日の体重を基準に、日ごとの差を並べました。

2日目 −0.17
3日目 −0.19
4日目 −0.18
5日目 −0.16
6日目 −0.14

初日の体重を0としたときの差(キロ)

体重は落ちています。2日目で−0.17キロ、3日目で−0.19キロ。やはり絞っているのか、と一度は思いました。

ところが、形が違う。落ちるのは2日目までで、そこから先は横ばいか、少し戻る。最終日に向けて絞り込んでいく形にはなっていません。なぜ2日目で止まるのかは、この数字からは分からない。

この段落は「最終日側の落ち幅が、3日目より深くならない」とき成立します。
現在 3日目 −0.19 / 6日目 −0.14 ── ✓ 成立

軽い日は、走るのか

同じ選手の、同じ節の中だけで比べました。相手の強さも、その節の調子も、腕の差も、これで揃う。

軽い日のほうが、着はわずかに悪くなっていた。その差を着順点に直すと0.03点で、1着と2着の差の2点に比べると、68分の1です。差はほとんどゼロで、向きが逆だったことだけが残りました。

この段落は「同じ節の中で比べた係数が、負にならない」とき成立します。
現在の係数 +0.107(1キロあたりの着順点)── ✓ 成立

気持ちが入っているなら、スタートに出るのではないか。そこも見ると、体重1キロあたり0.003秒で、節の中で動く体重の幅に直すと0.0008秒でした。スタートタイミングは100分の1秒の桁で記録されていて、この差はその桁に届かない。

この段落は「体重の幅に直したスタートの差が、0.005秒未満」のとき成立します。
現在 0.0008秒 ── ✓ 成立

比べた出走から外れたものもある。突き合わせた259,191の出走のうち、比べたのは243,315で、残りの15,876は、4日に満たない節の出走と、失格や欠場で着順がつかなかった出走です。

錘の一枚より軽い

なぜ、こうなるのか。理由は、動く幅のほうにありました。

最低体重を下回った選手は、足りない分の錘を積んで走ります。その錘は、0.5キロ刻み。

錘の最小の一枚 0.50
節の中で動く
体重の幅
0.27

単位はキロ

節の中で動く体重は0.27キロで、錘の最小の一枚より軽い。一枚も足せない幅のなかで、着順やスタートが動くことは期待しにくい。

この一行は「体重の幅が 0.5キロ未満」のとき成立します。
現在 0.27キロ ── ✓ 成立

節と節のあいだ

動かないのが節の中なら、絞るのは節に入る前のはずです。同じ選手の、続けて出た2つの節を比べました。

差の中央値は0.20キロで、0.5キロを超えたのは5回に1回。あいだが空くほど、少しだけ動く。

2週間以内 0.18
1か月半まで 0.23
それ以上 0.29

続けて出た2つの節の、体重の差(中央値・キロ)

動くのはレースをしていない日のほうで、それでも0.3キロに届かない。節の中でも、節と節のあいだでも、絞っている場面は見つかりませんでした。

軽いほうが有利なら

体重には、もうひとつ、よく聞く話があります。

「体重は軽いほうが有利」

有利なら、選手はできるだけ軽くしているはずです。10走以上ある1,634人について、選手ごとの体重の中央値を出しました。男子の中央値は52.30キロで、最低体重の52.0キロより0.30キロしか上にない。

51.039人
51.567人
52.0364人
52.175人
52.257人
52.347人
52.450人
52.525人
52.633人
52.730人
52.842人
52.924人
53.032人

男子1,355人の体重(中央値)。最低体重52.0キロの前後1キロだけを表示

52.0キロちょうどが364人で、2番目に多い値の4倍以上。身長も骨格も違う1,355人の体重が、ひとつの数字にこれだけ集まるのは、体格の偶然ではないでしょう。

体格がそこに集まっているのではなく、
そこに合わせている。

この一行は「いちばん多い体重が、最低体重の52.0キロと一致する」とき成立します。
現在いちばん多いのは 52.0キロ ── ✓ 成立

絞れない側

男子の43.8%が、最低体重から0.4キロ以内にいます。では、軽いほうが有利なのか。それは、この数字では確かめられません。ほとんどの選手がもう下限のすぐ上まで来ていて、軽い人と重い人を比べようにも、重い側がほとんどいないからです。

最低体重は、男子52キロ、女子47キロ。下回った選手は、その分の錘を積んで走る。

男子 11.7%
女子 40.2%

錘を積んで出走した割合

女子は40.2%が錘を積んで走っていて、体重の中央値は47.0キロ、最低体重ちょうど。絞るという話の裏側には、これ以上落とせない人がいます。落としても錘が増えるだけで、舟は軽くなりません。

節の格までは揃っていない

同じ節の中で比べても、節そのものの格や相手の強さは、揃えきれていない。体重が手元にあるのは2026年1月からで、それより前の節は数えていない。

280日分の体重を並べて分かったのは、選手の体重がほとんど動かないということで、動いたのは、こちらの見込みのほうでした。

いつ絞っているのか

探した範囲では、節の中でも、節と節のあいだでも、絞っている場面は出てこなかった。

「絞ってきましたね」は、嘘ではありません。ただ、絞り終わったのは、その節が始まるより前で、たいていは、ずっと前。節の中で見えているのは、絞った跡ではなく、そこを保っている姿のほうでした。

節の中の体重は、日ごとにどう動くか

初日の体重を0として、日ごとの差の平均を出したものです。男女で最低体重が違うため、分けて数えています。

節内の日男子女子
1日目+0.00+0.00
2日目−0.17−0.09
3日目−0.19−0.10
4日目−0.18−0.10
5日目−0.16−0.10
6日目−0.14−0.09

どちらも2日目までで落ち、そのあとは横ばいです。

選手ごとの体重は、どこに集まっているか

10走以上ある選手の、体重の中央値です。最低体重からの距離で分けています。

最低体重から男子女子
未満(錘)141 (10.4%)106 (38.0%)
+0.0〜0.4594 (43.8%)77 (27.6%)
+0.5〜0.9153 (11.3%)22 (7.9%)
+1.0〜1.9208 (15.4%)25 (9.0%)
+2.0〜3.9189 (13.9%)26 (9.3%)
+4.0以上70 (5.2%)23 (8.2%)

男子は最低体重ちょうどの帯に、女子は下回る帯にもっとも多く集まっています。

錘(調整重量)を積んだ量の分布(直前情報と突き合わせられた全出走)

最低体重に足りない分だけ錘を積みます。0.5キロ刻みで、0は錘なしです。
この表は、直前情報の体重と結果を突き合わせられた出走のうち、調整重量の記録があるものをすべて数えています。本文の「のべ…の出走」は、そのうち4日以上の節に含まれ、着順のついた出走だけを数えたものなので、この表の合計より少なくなります。

錘の量件数割合
なし217,85584.1%
0.5キロ16,5936.4%
1.0キロ10,0053.9%
1.5キロ6,6332.6%
2.0キロ4,2661.6%
2.5キロ2,0130.8%
3.0キロ1,0440.4%
3.5キロ5640.2%
この検証の数え方

どこから取ったか

レース直前に公表される体重と、レース結果を突き合わせました。2026年1月1日からの 280日分です。

「節」の数え方

同じ選手が同じ場で連続して走った日をひとまとまりとし、4日以上のものを1節として数えています。 現在 27,886節 です。

なぜ「同じ選手の同じ節の中」で比べるのか

選手ごとに体重も腕も違います。人をまたいで比べると、 「軽い選手は強い」なのか「軽い日は強い」なのか区別がつきません。
同じ人の同じ節の中だけで比べると、その区別がつきます。

着順点について

1着10点 / 2着8点 / 3着6点 / 4着4点 / 5着2点 / 6着1点。
1着と2着の差が2点です。この記事の差は 0.03点 で、その68分の1にあたります。

選手ごとの体重の出し方

10走以上ある選手について、公表された体重の中央値を1人1つ出しています。 平均でなく中央値にしているのは、1日だけ大きくずれた値に引っぱられないようにするためです。

錘(調整重量)について

最低体重を下回った選手は、不足分の重りを付けた着衣で出走します。
(出典:ボートレース公式 用語辞典「体重」)

最低体重は令和2年11月1日以降を初日とする競走から、男子51.0キロ→52.0キロに引き上げられました。 女子は47.0キロのままです。
(出典:ボートレース公式 お知らせ)

比べた出走から外れたもの

突き合わせた 259,191 の出走のうち、4日に満たない節の出走と、失格や欠場などで着順がつかなかった出走の 15,876 は、節の中の比較に入れていません。

図

すべてこの検証の集計から描いたもので、外部の画像は使っていません。図の数字は毎日の集計で差し替わります。

揃えきれていないもの

節そのもののレベル(相手の強さ)は揃えきれていません。断定はしていません。

検証データ

上の記事が今も成り立っているかを、毎日確かめている欄です。
読み物ではありません。数字が動いたら、記事のほうを書き直します。

成立条件の一覧

記事の中の断定的な一行が、今も成り立っているかの一覧です。

文条件現在
落ちるのは2日目まで6日目が3日目より深くない−0.19 / −0.14✓
軽い日のほうが着は悪い節内の係数が負でない+0.107✓
スタートの桁に届かない実効差が0.005秒未満0.0008秒✓
錘の最小の一枚より軽い体重の幅が0.5キロ未満0.27キロ✓
そこに合わせている最頻の体重が52.0キロ52.0キロ✓
いま数えている量

この検証がどれだけのデータで出ているかです。日が経つほど増えます。

項目件数
突合できたレース43,209
節(4日以上)27,886
節に含まれる出走243,315
比較に使った日数152,801
続けて出た節の組26,250
体重を出した選手1,634

集計期間 2026/1/1 〜 2026/10/7 / 最終更新 2026/10/07
このページは毎日、前日までの結果で自動更新されます。

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